【ヘアケア】酸性縮毛矯正は痛まない?アルカリ縮毛矯正との徹底比較
ども、くせ毛マイスター野坂信二(@kusegemeister)です。
縮毛矯正で使う薬剤(1剤)には大きく分けて2タイプあり、「酸性」の薬剤と「アルカリ性」の薬剤があるのはご存知でしょうか?
【ヘアケア】酸性縮毛矯正は痛まない?アルカリ縮毛矯正との徹底比較
最近の縮毛矯正の薬剤事情を見てみると、酸性タイプの薬剤を使用した縮毛矯正剤の方が優れている!というように認識されているものを多く見受けます。
実際にも
- 酸性タイプは従来のアルカリ性タイプよりも髪の負担が少ない!
- というか、痛みません!ダメージゼロ!
- ブリーチ毛など痛んだ髪にも縮毛矯正がかけれます!
- やればやるたびに綺麗になります!
こんな感じの宣伝文句をよーーーく見ますね。某美容室掲載サイトや美容師ブログやら・・・
僕がブログを書き始めた頃と違って、「美容師なのにブログ書いてないの!?」くらいの扱いになっているので美容師ブロガー人口がとても多くなってきましたね。
僕のような文才のかけらもない人間からすると、書いても書いても埋もれるので大変です(笑)
ブログを書いている美容師さんが多い=記事・情報が量産されるということなので、正しい情報も間違った情報もだだーーーっと素人さんの足元に転がっているなんとも面白い状況なのです。
ただ問題は、素人さんでは「その真偽のほどは分からない」ということ。
アルカリ云々、酸性云々もどこがはじめに仕掛けたかは知らないけれど、間違った情報に踊らせれていると言っていいでしょう。
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そう、酸性タイプの薬剤を使用した縮毛矯正がアルカリタイプの縮毛矯正と比較して優れていて、痛まない・痛んでいてもかけられるといった認識は大きな間違いなのです。[/aside]
酸性縮毛矯正とアルカリ縮毛矯正の違いとは?
アルカリと酸性の縮毛矯正、どっちが髪が痛まないの?と良く質問頂きますが、図のようなバランスで成り立っているのでどっちもどっち。
ただ、髪質や状況によって薬剤パワーに耐性が強い場合、物理的パワーに耐性に強い場合などがあるので、正しく使い分けることで負担を減らすことはできます。 pic.twitter.com/7YYXtn4SDP
— のっち@くせ毛の悩みを解決する専門家 (@kusegemeister) 2017年10月7日
これ我ながら分かりやすいな、と(笑)
縮毛矯正は【 薬剤的パワー + 物理的パワー = 癖を伸ばすパワー 】っていう数式に成り立っていると考えてます。
まぁこれはかなり簡略化していて、ここから多くの変数が加わってくるわけですが。
縮毛矯正を、この薬剤的パワーと物理的パワーのバランス、そして薬剤の放置時間という一つの重要な要素を組み込んで考えるとこんな感じのグラフが出来上がります。
薬剤パワーの強さ、薬剤の放置時間、物理パワーの強さ。
この3つのバランスが縮毛矯正でのくせ毛を伸ばす力のバランスが成り立っていることがよく分かります。
そして、このパワーバランスをアルカリ性、酸性縮毛矯正の特徴を当てはめると、、、
(画像は左右にスワイプすることで比較することができます。)
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それぞれこのようなパワーバランスとなります。
[aside type=”warning”]
アルカリ縮毛矯正は、髪に与える薬剤負担を多めに分配していることで物理的パワーの負担を少なくしており、
反対に酸性縮毛矯正は、髪に与える薬剤負担を少なくしているかわりに、物理的パワーでの多く分配し、くせ毛を伸ばすパワーバランスを調整しているのです。[/aside]
ここまでくると酸性縮毛矯正とアルカリ縮毛矯正のそれぞれの性格が見えてきますよね。
グラフを見れば一目瞭然なように、酸性だから、アルカリだからと薬剤での優劣はなく、「酸性だから痛まない!」「やるたびに綺麗に!」がいかに戯言であるかは分かると思います。
ただ、この2タイプの薬剤それぞれの特徴をしっかりと理解して、髪質やくせ、髪のダメージ状況などに合わせて使い分けることができれば、
文字通り【ダメージの少ない縮毛矯正】が可能になるんです。
なので、「酸性だからアルカリよりも痛まない」も100%間違っているという訳ではないんです。
それぞれの向き不向きとは?
上のグラフで分かるようにアルカリタイプは薬剤にアイロンに薬剤パワーにウエイトを置き、酸性は物理的パワーにウエイトを置いています。(いや、結局はバランスなのですが・・・割愛)
酸性タイプの縮毛矯正がなぜヨイショされているのが分かってきませんか?
そう、度重なるカラーやパーマ、縮毛矯正や間違ったヘアケアなどによる髪のダメージが蓄積している現代女性や毛髪強度が衰えてきたシニア世代などに割と好相性ということ。
髪が痛み、キューティクルの損傷を受けるとアルカリタイプの薬剤負担に弱くなってしまう側面があるんです。
そして、そんな痛んだ髪などに対してもアプローチできる要因として、中世〜酸性タイプの縮毛矯正剤というのは昔から存在していたんです、実は。
そこに着目して、アイロンでの物理パワーをビルドアップさせれば酸性タイプの薬剤の守備範囲広げられるんじゃね!?という考えから酸性縮毛矯正という新たなジャンルが確立したわけですね。
本来の髪の痛み具合に対しての薬剤の対応幅で言えば、酸性タイプは毛髪強度の落ちた髪や痛んだ髪、アルカリ性は痛みのない健康な髪からミドルダメージに。
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それをダブルアイロンやウェットアイロンなどで物理的パワービルドアップさせて、酸性縮毛矯正の対応幅を増やして、
でもそのビルドアップのデメリットを隠したままにすることで酸性縮毛矯正最強神話が出来上がってしまったわけですねー。
物理的パワービルドアップのデメリットとは?
[voice icon=”https://kusegehack.com/wp-content/uploads/2017/05/DSC_0078_01.jpg” name=”くせ毛さん” type=”l”]さっきから物理的パワーのビルドアップばっかでうるさいんだけど、それがなんなん?
それでくせ毛が伸びるんならそれでいいじゃん![/voice]
[voice icon=”https://kusegehack.com/wp-content/uploads/2017/05/730f897cef4a873a9715cd34a5b219c1.jpeg” name=”のっち” type=”r”]ええ、まぁそれだけならなんの問題もないんですけどね。
物理的なこの世界には「等価交換」という原理原則が存在しているので、大きなメリットの裏には必ずそれ相応のデメリットが隠れているんです。[/voice]
一時期「酸性でくせ毛が伸びちゃう縮毛矯正があるんだぜっ!」ってマニア美容師界隈の中で話題になり、そこで爆発的に広がった技法が【水抜きアイロン】という特殊な技法。
これは通常、しっかり乾かしてからアイロンを通していたものを乾かし切らずに少し湿った状態からアイロンを入れるというもの。
洋服のスチームアイロンなんかを思い浮かべるといいかも。水の力を借りることでより伸びを良くしているんですね!
これにより、水蒸気爆発が起きて薬剤反応の暴走→髪のタンパク変性によるビビリ毛という事態に…
その後もアイロン技法やアイロン自体の工夫、処理剤での工夫など様々な試行錯誤が繰り返されてきましたが、
どれも技術者の高度な縮毛矯正スキルがあってこそのもので、「酸性だから痛まない!」なんて安易にできるものではありませんでした。
でもその良い噂だけが一人歩きしてしっかりとデメリットを認識していない美容師さんが失敗を量産してしまっているような状態です。
いや、最近はだいぶデメリットも認知されだして、少なくなっていっているような気もするけどね。
結局は「良い」ものではなく「合う」ものを。
最近のジョンマス事件でも言えることだけど、世間一般の「良い」なんてものはほとんど眉唾。
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縮毛矯正の酸性だーアルカリだーなんてのは、髪の毛の状態や履歴などでプロである美容師は適切なものを判断するもので
「あのお店は痛まない酸性縮毛矯正やってるからあそこに行こう!」っていうのは本質がズレてるように思えちゃいますね。
アルカリと酸性、どちらの縮毛矯正もやりまくってる僕から一言言わせてもらうと、
縮毛矯正上手な人で「酸性縮毛矯正やってます!」「うちの縮毛矯正は痛まないですよ!」と宣伝してる美容師さんってほとんどいないです(笑)
どちらの良さも悪さも噛み砕いた上で、その髪に何が一番適しているか?を正確に見極めることができて適材適所な施術ができれば、
酸性だとかアルカリだとかそんなことはどーーーーーでもいいんです。
ご参考に。
以前はこんなtweetも。
縮毛矯正のアルカリは傷んで酸性は痛まない理論ですが、これは間違いですね。
これを謳っている美容師さんほど薬剤知識がないなと僕は思ってしまいます。
酸性薬剤の特性や危険性を知っていれば、軽々しくこのような発言はできません。 https://t.co/6srhZzvkps— のっち@くせ毛の悩みを解決する専門家 (@kusegemeister) 2017年5月16日
イメージとしては、薬剤の強さ+熱処理の強さでクセの伸びが変わってきます。酸性矯正の場合、薬剤の強さを抑えるかわりに熱処理の強さを大きくすることでクセを伸ばします。
具体的には水分が多く残っている状態でアイロンをしたり、通常よりも高温のアイロンで処理をしたり。
— のっち@くせ毛の悩みを解決する専門家 (@kusegemeister) 2017年5月16日
よく使われる酸性の薬剤は油性のもので且つ、アルカリの薬剤のように軟化と膨潤を起こさないのでアイロン時の水分コントロールが非常に難しく、安定性がなく、修得が難しいです。
普通の美容師さんの縮毛矯正施術の人数を考慮すると修得はかなりの努力が必要かな、と(^^;
— のっち@くせ毛の悩みを解決する専門家 (@kusegemeister) 2017年5月16日
もうひとつ酸性薬剤の特徴として、浸透がとんでもなく早いので一剤の流す際に一瞬毛先に触れただけでも、作用、還元してしまうことも。毛先への施術の必要のない縮毛矯正だと不必要に髪の負担を増やしてしまいます。毛先にかけたパーマも落ちたりするので、それへの対策も必要です。
— のっち@くせ毛の悩みを解決する専門家 (@kusegemeister) 2017年5月16日
何よりも美容師さんが「この薬剤は痛まない。安心、安全だ。」と思っていることが何よりも危険で、繊細な技術を欠いてしまう要因になりかねません。気を抜けばお客さんの髪をボロボロにしてしまう可能性は、僕はもちろんどんな美容師さんにもあるので、その認識がなによりも大切だとおもいます。
— のっち@くせ毛の悩みを解決する専門家 (@kusegemeister) 2017年5月16日
YouTubeにてこんな動画も挙げています!
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今日はこんなん。ほいじゃね♪