【驚愕】業界初の新発想カラー剤Applie(アプリエ)の第三剤は酸素系漂白剤!?
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表参道エリアでくせ毛顧客率100%のくせ毛専門美容師、「くせ毛マイスター」として活動している野坂信二(@kusegemeister)です。
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今回は最近話題の新発想カラー剤Applie(アプリエ)について解説していきます。
↓この記事もよく読まれています。アプリエ、イルミナカラーにも触れているので是非。
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【驚愕】業界初の新発想カラー剤Applie(アプリエ)の第三剤は酸素系漂白剤!?
美容師のみならず、美容に敏感な素人さんの間でも話題になっているみたいですね。
イルミナカラー、THROW(スロウ)、アディクシーなど、ここ最近の怒涛の新カラー剤の登場で何かと美容師業界が賑わっているようです。
どのカラー剤にも共通している従来のカラー剤との異なる点は「透明感」ですね。今回解説していくアプリエはさらにその上、【ハイ透明感】と銘打って世に送り出されました。
新発想カラー剤Applie(アプリエ)とは?
ではその新カラー剤アプリエとは?
業界初の3剤式ヘアカラーが誕生。
ヘアカラーの1剤と2剤に”パウダーを入れる”というイノベーション。これにより、ついに1プロセスで、15レベルまでの高明度・高彩度な
仕上がりを実現しました。その仕上がりのネーミングは【ハイ透明感カラー 〜色濃く透ける髪色をワンプロセスで〜】
プロマスター アプリエは、業界初となる技術でエンドユーザーの「ニーズ」を解放し、
新たな市場を創造する高付加価値ヘアカラーです。
引用元 hoyu
簡単に言うと、今まではブリーチしてから色を重ねていく【ダブルプロセス】でなければ出せなかった髪色(透明感)が、このアプリエなら【ワンプロセス】で出来る!らしいです。
何が業界初の新発想なの?
1剤に含まれるアルカリ剤と2剤に含まれる酸化剤の両方 に働くパウダー。酸化染料の重合を助け、メラニン色素を分解します。
一方で脱染(染料の分解)を抑え、色濃く染めることができます。
引用元 hoyu
従来のカラー剤ではダブルプロセスでしか出せなかった髪色が、ワンプロセスで出せるようになった立役者となっているのが第三剤という位置付けの「PCパウダー」。
今までは1剤+2剤でカラーしていたのを3剤をミックスするというのが新発想ということですね。
この酸化助剤という位置付けの第3剤PCパウダーとは一体なんなのか?
有効成分としては「過炭酸ナトリウム」という成分で、炭酸ナトリウムと過酸化水素の混合物で水分と反応することで炭酸ナトリウムと過酸化水素に解離する特性があります。
過炭酸ナトリウム(Sodium Percarbonate)。これでPCパウダーとのことです。
その過炭酸ナトリウムの効果は…
- 水分に溶けて反応して、カラー剤のブリーチ力を増強
- 2剤(過酸化水素)・アルカリ増強
これによりカラー剤のブリーチ力と発色力をブーストさせているということのようです。
過炭酸ナトリウムとは?
あまり聞きなれないかもしれませんが、一度は手にされたことがあるかもしれません。過炭酸ナトリウムとは、実は漂白剤に用いられることが多い薬品です。
「え!?漂白剤を髪に使うの!?」という感覚になる方がいるかもしれませんが、以前からヘアカラー2剤として用いられていた過酸化水素も漂白剤として、
過炭酸ナトリウムと同じ分類である【酸素系漂白剤】として用いられているんですよね。こういうことは一般の方よりも美容師さんのほうが疎いかもしれませんね。
漂白剤以外の用途としては、食器洗い乾燥機用洗剤や、パイプクリーナー、洗濯槽クリーナーなどで、アルカリの力に酸化力が加わった実力派成分とのことです。
髪も衣類も全く別物と思われがちですが、繊維という点では同じカテゴリに属するし、過酸化水素が先陣を切っているので、あながち突飛なものでもないかもしれないですね。
既存のモノを組み合わせて新しいものを作る、これが化学です。
ブリーチ剤・脱染剤とは何が違うの?
「カラー剤に粉を入れる!?なら、それってブリーチ剤じゃない?」と美容師ならまず思いますよね。
通常のカラー剤にブリーチ剤を混ぜて使用するテクニックは昔からあったものだし、それの何が新しいの?となるのは仕方のないことだと思います。
ただ、カラー剤にブリーチを混ぜることには隠しきれない欠点があります。
それは、髪のメラニン色素を破壊するのと同時にカラー剤の染料までも破壊してしまうのです。つまりは明るくはなるけど、色も染まらないということになります。
[aside type=”normal”]その問題を「解決しましたよ!」と言っているのが今回のアプリエであり、その立役者となっているのが3剤(PCパウダー)となります。[/aside]
グラフで表すと…
効果 脱色力
(メラニン分解)脱染力
(染料分解)染色力の向上 脱色剤 髪のメラニン色素の分解 ○ × × 脱色剤染剤 髪のメラニン色素の強い分解と酸化染料の分解 ○ ○ × 脱染剤 酸化染料だけを穏やかに分解 × ○ × アプリエ 毛髪のメラニン色素のやや強い分解と酸化染料の染色力向上 ○ × ○
引用元 hoyu
今までできなかったメラニン色素の分解と酸化染料の染色力向上の両立を実現したとのこと。
これ、本当だったらすごいですよね。
ブリーチなしのワンプロセス”ハイ透明感カラー”は痛まない?
ブリーチ剤を使わないから痛まないという認識は危険です。
ブリーチなしでも日本人の髪色で透明感を出すにはそれ相応のアンダーメラニンを削る必要があるため、ダメージもそれ相応と言えます。
この図がとても分かりやすい。
引用元 hoyu
同じ明るさの仕上がりのアプリエと従来品の比較画像なのですが、
従来のカラー剤は、13レベルの仕上がりに染め上げるとすれば、14レベルまで上げて、色味を入れて13レベルの仕上がりにするとのに対して、
アプリエは15レベルにまで上げて、色味を濃く入れて13レベルにするイメージ。
カラー剤の特性上、ここまで明るくすることと色味を入れることをワンプロセスで行うことは物理的に不可能で、
一度明るくする(1プロセス目)と、色味を入れる(2プロセス目)ということを分けて行うことが必要でした。
明らかにブリーチをしているのにも関わらず「ブリーチなしでこの透明感!」と謳っているものは、
大抵、1プロセス目の明るくすることはそれより以前にやっていて、2プロセス目である色味を入れることだけをしているというカラクリなので、
そりゃ1プロセスで出来るわ…ってのが実際のところ。
↑このように、一本のカラー剤で見ると染料が多ければブリーチ剤は少なくなるし、逆にブリーチ剤が多くなれば染料が少なくなります。
見ての通り、1本のカラー剤で明るくすることと色味を濃く入れることは不可能で、互いのバランスは反比例してしまうのが従来のカラー剤でした。
その壁を取っ払うことが出来るとしているアプリエ、革新的です。
アプリエのデメリットは?
はい、ここで考えていきたいのはアプリエのデメリットですよね。今までできなかったことをしているわけですから、良いことだけではなく、それによって起こる弊害も必ずあります。
そして、そのデメリットというのは良くも悪くもこのブリーチ力と染色力と言えます。
なぜなら、この透明感を日本人の髪で出すにはかなりのアンダーメラニンを削る必要があり、「アンダーメラニンを削ること」と「髪のダメージ」というものはある程度比例しています。
引用元 hoyu
従来のヘアカラー剤は、13レベルで染めた場合は14レベル相当のダメージレベル。それに対してアプリエは、13レベルで染めた場合は15レベル相当のダメージレベルということになります。
ブリーチをしないし、染色力が高いため、そう感じさせないことが強みでもあり弱みでもあります。
ダメージしているのにパッと見ダメージしているように見えないということは、履歴をしっかりと把握していない美容師さんがカラー以外の縮毛矯正やパーマなどの施術をしてしまうと失敗してしまう可能性がとても高いです。
なぜなら【髪のダメージ】というのは、施術の際に使用する薬剤やプロセスを決めていく上で、とても重要な位置にいるためです。
縮毛矯正であれば、クセが強ければ強めの薬剤、クセが弱めであれば弱めな薬剤というのはなんとなく分かると思いますが、
ダメージが大きいほど、それに耐えうる髪の強度を失っているため強い薬剤が使えなくなり、ダメージが小さければ使える薬剤の幅が広いことになります。
つまりはダメージが大きければ大きいほどストライクゾーンは狭くなり、ピンポイントで薬剤を選択していかなければならなくなります。
失敗のリスクも高まるということですね。
その理由は、ストライクゾーンよりも薬剤が強ければ髪が耐えきれずビビリ毛に、弱ければクセが伸びないといった失敗に繋がるリスクが高まるからです。
そのため、アプリエでカラーした髪に縮毛矯正をかける場合は、毛髪診断能力、薬剤、その他プロセスの取捨選択に高い精度が求められます。
イルミナカラーでさえこのような傾向があったので、過炭酸ナトリウムによりさらにブリーチ力と染色力を底上げさせたアプリエにも同じ傾向があって間違いないと言えます。
同時に頭皮への負担もブリーチよりは少ないけど、従来のカラー剤よりは強いと考えるのが自然かなと思うし、イルミナカラー同様色落ち問題はついて回りそうですね。
まとめ
くせ毛専門美容師である僕なりに新カラー剤「アプリエ」を考察してみました。
デメリットが大きいことは否めないけれど、ブリーチなしのワンプロセスでも今までに到達できなかった透明感のある髪色にできるメリットは計り知れないものがありますよね。
ただ、過炭酸ナトリウムというのは過酸化水素と炭酸ナトリウム 3:2のモル比で混合された付加化合物です。
日本の薬事法でヘアカラーに使える過酸化水素の濃度というのは6%が上限であるため、合法的に高ph保ったまま過酸化水素の濃度を上げているだけじゃ、、、?
という疑問は拭えないのですが、これはここだけの話ということで(笑)
とは言いつつ、少なくともブリーチありのダブルカラーよりも髪全体またはキューティクルの損傷は少ないんじゃないかなって予想できるのと、ブリーチしない分、僕みたいなカラースキルの乏しい美容師でもコントロールしやすそうな所が嬉しいですね。(笑)
これから色々使ってみて検証なんかもしていきたいと思います。
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今日はこんなん。ほいじゃね♪